小林隆氏、中家剛氏、塩沢眞人氏が戸塚洋二賞を受賞

3月 25, 2015

小林 隆

ミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動現象を発見した貢献に対し、小林隆氏、中家剛氏、塩沢眞人氏に戸塚洋二賞が授賞されました。小林隆 高エネルギー加速器研究機構(KEK)教授は大強度陽子加速器施設(J-PARC)素粒子原子核ディビジョン長を務めています。中家剛 京都大学教授はT2K実験のスポークスパーソンを務めており、塩沢眞人 東京大学宇宙線研究所教授はT2K実験解析グループの指導的役割を担っています。

中家 剛

2013年7月、T2K実験グループはミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動現象の発見を発表しました。T2K実験では、茨城県東海村でミューニュートリノの生成を行っており、2010年1月には物理データの取得を開始しました。ニュートリノビームは295km離れた後置検出器スーパーカミオカンデに送られています。発表の時点までに、28個の電子ニュートリノ事象の候補がスーパーカミオカンデで観測されました。このことは、ニュートリノの検出地点において、その生成地点でのフレーバーとは異なる特定のフレーバーを持つニュートリノが明らかに出現する現象が疑いの余地なく観測されたために、極めて重要な物理学上の発見となりました。この発見はまた、レプトンセクターでのCP対称性の破れを探索することが可能であることを明らかにしました。レプトンセクターでのCP対称性の破れは、自然科学における最も深遠な謎の1つである、宇宙での物質と反物質が非対称に存在することを理解するための決定的な鍵となる可能性があります。

塩沢 眞人

戸塚洋二賞は、ニュートリノ物理学および非加速器素粒子物理学分野における発展に目覚ましい貢献をした研究者に対し毎年贈られています。この賞は、ニュートリノ物理学において、太陽ニュートリノおよび大気ニュートリノの振動現象の発見を含む素晴らしい業績を残された戸塚洋二氏を記念して2009年に設立されました。

今回の受賞、本当におめでとうございました。