T2K実験が反ミューニュートリノ消失現象に関する初めての測定結果を発表

5月 19, 2015

2015年5月18日、T2K実験グループは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)のセミナーにおいて、反ミューニュートリノ消失現象に関する初めての測定結果を発表しました。この結果は、2014年5月から2015年3月までに取得したデータを解析して得られたものです。

この間、T2K実験は反ミューニュートリノビームモードで運転を続けてきました。もし反ニュートリノ振動が無い場合には、スーパーカミオカンデ後置検出器において59.8事象の観測が期待されました。しかし実際には17事象のみが観測され、またそれらは反ミューニュートリノが反タウニュートリノに振動することよって期待される“消失現象”とよく合致しました。

さらに、T2K実験では今回の新しい結果を以前のミューニュートリノ消失現象の結果と比較しましたが、これらの振動の振舞いにおいてニュートリノと反ニュートリノで違いは見られませんでした。

下の図は、T2K実験で得られた反ミューニュートリノ振動パラメーター sin2θ23Δm232 のベストフィット値と、68%および90%信頼水準の許容範囲を示しています。前者のパラメーターは振動する反ニュートリノの割合を示し、後者のパラメーターは2種類の反ニュートリノの間の質量2乗差を表します。T2K実験の測定は、反ニュートリノ振動確率のパラメーター sin2θ23 において世界最高精度を達成しています。

sin2θ23Δm232 のベストフィット値と、68%および90%信頼水準の許容範囲