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T2K実験共同研究者の市川温子博士が第1回湯浅年子賞を受賞

12月 25, 2013

自然科学において顕著な研究成果を挙げた女性研究者に対して贈られる「第1回 湯浅年子賞」の受賞者に、京都大学の市川温子准教授が選ばれました。この賞は湯浅年子博士(1909-1980)を記念して設立された賞で、博士はフランスのコレージュ・ド・フランス原子核化学研究所およびオルセー研究所において物理学に優れた功績を残しました。市川准教授は、T2K実験での電子ニュートリノ出現現象の観測における重要な功績を認められて受賞されました。おめでとうごさいます。

ミューニュートリノが電子ニュートリノへ転換することを決定的に示す論文をT2K実験グループが発表

12月 3, 2013

T2K国際共同実験グループは、高純度のミューニュートリノビームがJ-PARC加速器施設からスーパーカミオカンデ地下ニュートリノ検出器までの295kmの距離を飛行する間に、電子ニュートリノが出現することを確実に観測したことを報告する論文を発表しました。もしこのタイプの振動現象が無かった場合に期待される事象数4.92±0.55に対し、実際には電子ニュートリノ事象が28回観測されました。この結果はニュートリノ振動が無いという仮定を7.3σの統計的有意性をもって棄却します。つまり、もし純粋にバックグラウンドのみで今回観測されたような多くの事象を観測するとすれば、その確率は0.00000000001よりも小さいということになります。したがって、T2K実験グループが発表した新しい論文は、ミューニュートリノビーム中に電子ニュートリノが出現する事象の存在を決定的に確立しました。このニュートリノ振動現象を記述するパラメーターに対して、T2K実験は δCP=0 (詳しい情報はニュートリノQ&Aをご覧ください。) を仮定した場合、sin2(2θ13) のベストフィット値として、質量階層状態が“順階層”の場合 0.140+0.038-0.032、“逆階層”の場合 0.170+0.045-0.037 を報告しました。今回発表された結果は、2010年1月から2013年5月までに取られたデータを解析して得られました。この間にJ-PARCの陽子ビーム強度は着実に向上し、パルス当たりの陽子数が1.2×1014個という世界記録を伴い220kWの連続運転を達成しました。

T2K実験、最新結果によって電子ニュートリノ出現現象の存在を明らかに!

7月 19, 2013

Electron-neutrino candidate in Super Kamiokande

T2K実験国際共同研究グループは、本日、ストックホルムで開催中の欧州物理学会において、ミューニュートリノが飛行中に電子ニュートリノへ変化する電子ニュートリノ出現現象が存在することを示す決定的な測定結果が得られたことを発表しました。同研究グループは…

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T2K実験がフランスの科学雑誌から受賞

11月 9, 2012

T2K実験がフランスの科学雑誌のLa Rechercheから有名な賞を受賞しました。この賞は“Le Prix La Recherche”と呼ばれ,物理学や化学,数学,医学を含む12分野があります。T2K実験は,ミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動現象の存在を初めて示唆したことで物理学賞を受賞しました。2012年10月23日にパリのケ・ブランリ美術館で行われた受賞式の写真に,何人かのT2K実験のコラボレーターが見えます。また,下に示したものが受賞証書です。

2012年夏までにT2K実験で得られた全データを用いて,電子ニュートリノ出現現象の結果を更新

10月 23, 2012

T2K実験グループは,オーストラリア・メルボルンで開かれた2012年高エネルギー物理学国際会議(ICHEP2012)において,ミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動現象に関する最新結果を発表しました。この振動は,量子物理学によりニュートリノ質量がゼロでない場合に起こることが予言されています。今回の新しい結果は,2011年にPhysical Review Letters誌に発表した論文において,ミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動の存在を実験的に初めて示唆したときの2倍以上のデータを用いて得られました。 メルボルンでT2K実験グループは,後置検出器であるスーパーカミオカンデにおいて,振動現象が無い場合には電子ニュートリノ事象が3.2個しか期待されないところに,実際には11個の電子ニュートリノ事象が見られたことを報告しました。この11事象が,ミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動以外の過程の統計的揺らぎによって起こる確率は小さく,0.08%です。 3つの独立した解析がT2K実験グループで行われ,お互いに矛盾の無い結果を与えました。振動パラメータsin2(2θ13)は,その他のパラメータに標準値を仮定して0.094+0.053-0.040と測定されました。このパラメータは,T2K実験において6×108電子ボルトのエネルギーを持ったミューニュートリノが電子ニュートリノへ振動する割合を近似的に表しています。(1電子ボルトは,電子が1ボルトの電場で加速されるときに得られるエネルギーです。) より詳細な結果は「For Physicists」のページにあります。また,メルボルンの会議でのプレゼンテーションはここを参照してください。

T2K実験グループが電子ニュートリノ出現現象の新しい結果を発表し、2011年7月に公表した結果を裏付け

6月 5, 2012

京都でのニュートリノ国際会議2012において、T2K実験グループは、ミューニュートリノが振動して電子ニュートリノが出現する現象に関する新しい結果を発表しました。これは、以前2011年7月にPhysical Review Letters誌に公表した、2.5σの統計的有意性でθ13がゼロでないことを初めて実験的に示唆した結果を裏付けたものです。 2012年5月までに収集された2.56×1020 POTのデータに基づいて、10個の“電子ニュートリノ出現”の候補事象が、T2K実験の後置検出器であるスーパーカミオカンデで観測されました。この観測により、前回の結果はさらに確かなものになりました。バックグラウンドの統計的揺らぎにより10個以上の事象が得られる確率(p値)は、0.08%の極めて小さな値になり、これは3.2σの統計的有意性に対応します。 このデータの解析は3つの異なる方法で行われ、全て矛盾のない結果を得ました。フィットされたsin2(2θ13)の中心値は、δ=0, Δm223=2.4×10-3 eV2, θ23=π/4で正常階層を仮定して 0.104+0.060-0.045 を得ました。 原子炉実験から得られるθ13に関する最近の精密測定の結果は、今回のT2K実験の結果とよく合っています。原子炉実験は反電子ニュートリノの消失事象に基づいていますが、T2K実験の結果は、ミューニュートリノビーム中での電子ニュートリノ出現現象を示しており、自然界に内在している可能性のあるCP非保存効果の検出に感度があります。 θ13に関するこれら2つの全く別の測定に矛盾がないことは、根本的な物理に対する我々の理解が正しいことを証明しており、未だ解明されていないニュートリノ質量の階層問題を解くためのユニークな機会を与えてくれます。それはまた(ニュートリノと反ニュートリノとで異なる振動を引き起こす)CP非保存探索の扉を開き、さらには、宇宙で物質が反物質より優勢になっていることの背後に潜む物理を探る鍵になる可能性もあります。

2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復旧後初めてスーパーカミオカンデで観測されたT2K実験ニュートリノ事象

2月 3, 2012

2011年3月に発生した東日本大震災からの復旧後初めてのT2K実験によるニュートリノ事象が、スーパーカミオカンデ(T2K実験の後置検出器)で2012年1月26日に観測されました。上の図のイベントディスプレイに表示された事象がそれに当たり、ミューオンによって作られたチェレンコフリングが図の中央に見られます。このミューオンは、T2K実験で生成したニュートリノビーム中のミューニュートリノが、スーパーカミオカンデ検出器の水分子に含まれる酸素原子核中の中性子または陽子と反応して生成されたと考えられます。また、この事象を観測できたことは、2012年3月に予定されているT2K実験のデータ収集再開に向けて、さらに大きな一歩になります。 このイベントディスプレイを提供していただいた、東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設の皆様に感謝いたします。

T2K実験が、ミューオンニュートリノ消失事象に関してOff-Axis法による初めての測定結果を論文発表

1月 18, 2012

T2K実験グループは、Off-Axis法によるミューオンニュートリノ消失事象の初めての測定結果を、Physical Review D (http://prd.aps.org/abstract/PRD/v85/i3/e031103) に論文発表しました。 T2K実験のニュートリノビームはその成分のほとんどがミューニュートリノからなっており、もしニュートリノ振動現象が起こらなかったとすれば、T2K実験の後置検出器であるスーパーカミオカンデにおいて、104事象のミューオンニュートリノ反応が観測されると期待されました。しかし、実際にはそのような反応は31事象しか観測されず、この欠損はミューニュートリノがタウニュートリノへ振動したためだと考えられます。この結果は2010年1月から2011年3月に収集されたデータから得られました。この測定に関するより詳細な内容は、“T2K実験結果”を参照してください。また、Off-Axis法を用いた実験の利点が、“T2K実験について”のページに説明されています。

T2K実験がトップ10にランクイン!

1月 18, 2012

イギリス物理学会が発行する「Physics World」誌において、T2K実験の結果が、2011年の物理学におけるブレークスルー・トップ10にランクインしました。ここで述べているように、T2K実験において、ミューニュートリノが電子ニュートリノへ振動した兆候を世界で初めて捉えたことが、その評価の理由です。もしそのような振動が無かった場合、スーパーカミオカンデ(T2K実験の後置検出器)で観測される電子ニュートリノ事象の期待値が1.5であったのに対し、実際には6事象が観測されました。この結果は、ミューニュートリノが電子ニュートリノに振動した兆候を示していますが、まだ確定的ではありません。T2K実験では2012年もさらにデータを収集して、これらのニュートリノ振動が本当に起こっていることを確証させたいと考えています。

東日本大震災以降初めてのJ-PARC陽子加速器におけるビーム試験運転

1月 14, 2012

茨城県東海村に建設されたJ-PARC(大強度陽子加速器施設)の陽子加速器は、2011年3月の東日本大震災において、津波の被害からは免れましたが、多くの地震被害を受けました。しかし、現在までに被害のほとんどが修復され、2011年12月9日に、震災以降初めてとなるLINAC(線型加速器)での陽子ビーム試験運転に成功しました。このことにより、J-PARC加速器とT2K実験にとって非常に重要な段階を達成しました。詳細は、http://j-parc.jp/ja/topics/2011/ja.html#Test_operation1209をご覧ください。