西川公一郎博士とT2Kコラボレーションのメンバーが、ニュートリノ振動の発見と研究における功績に対し、基礎物理学ブレークスルー賞を受賞しました。
ブレークスルー賞財団によって授与されたこの賞は、「ニュートリノ振動という根本的に重要な発見をし、素粒子標準模型を遥かに超える新しいフロンティアを開いたことに対して」贈られました。賞金は300万米ドルで、他の4つの国際実験コラボレーション – Daya Bay(ダヤベイ), KamLAND(カムランド), SNO(スノー), Super-Kamiokande(スーパーカミオカンデ )- と分かち合います。T2KコラボレーションはK2Kコラボレーションと共に名前が挙げられ、西川博士はT2KコラボレーションとK2Kコラボレーションの創設代表者を務めました。
授賞式はカリフォルニア州モフェットフィールドのNASAエイムズ研究センターで行われました。式はアメリカのナショナルジオグラフィックチャンネルで生中継され、コメディアンのセス・マクファーレンが司会を務めました。1時間の短縮版が11月29日午後7時(米国東部標準時)にFOXチャンネルで放送されます。
T2K実験は、日本で行われている加速器を用いた長基線ニュートリノ振動実験です。J-PARCの陽子加速器のメインリングを用いて強力なミューニュートリノビームを生成し、そのニュートリノは、J-PARCから295km離れた池の山の地下深くにある神岡鉱山に設置されたスーパーカミオカンデに向けて射出されます。T2K実験への表彰は、ミューニュートリノビーム中での電子ニュートリノ出現現象の観測に対して行われ、それはニュートリノフレーバーが出現する現象の初めての観測でもありました。この発見は、ニュートリノ振動とその反粒子(反ニュートリノ)の振動の違い(CP非保存と呼ばれる)を調べる研究の基を築き、さらにそれは宇宙においてどうやって物質が優勢になったのかという問題を解明することになるかもしれません。T2K実験は反ニュートリノ振動を調べるために、反ニュートリノビームのデータ収集を開始しました。
当時のT2Kコラボレーションには、12か国64機関から500人を超えるメンバーが参加していました。以下は参加機関です。
アルバータ大学、ブリティッシュ・コロンビア大学、レジーナ大学、トロント大学、TRIUMF、ビクトリア大学、ウイニペグ大学、ヨーク大学(カナダ)
IPN リヨン(IN2P3)、IRFU サクレー研究所、LLR エコール・ポリテクニーク(IN2P3)、
LPNHE・UPMC・パリ(フランス)
RWTH アーヘン大学(ドイツ)
INFN バリ、INFN ローマ、ナポリ大学 INFN、パドヴァ大学 INFN(イタリア)
ICRR 神岡宇宙素粒子実験施設、ICRR 宇宙ニュートリノ観測情報融合センター、東京大学宇宙線研究所、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構、東京大学、高エネルギー加速器研究機構、神戸大学、京都大学、宮城教育大学、岡山大学、大阪市立大学、首都大学東京(日本)
全南大学、東新大学、ソウル大学(韓国)
IFJ PAN クラコフ、NCBJ ワルシャワ、シレジア大学カトワイス、ワルシャワ工科大学、ヴロツワフ大学、ワルシャワ大学(ポーランド)
INR(ロシア)
IFAE バルセロナ、IFIC バレンシア(スペイン)
ETH チューリッヒ、ベルン大学、ジュネーブ大学(スイス)
インペリアル・カレッジ・ロンドン、オックスフォード大学、ロンドン大学クイーンメアリー、STFC ダレスベリー研究所、STFC ラザフォード・アップルトン研究所、ランカスター大学、リバプール大学、シェフィールド大学、ワーウィック大学(イギリス)
ボストン大学、ブッルクヘブン国立研究所、コロラド州立大学、ドューク大学、ルイジアナ州立大学、ミシガン州立大学、ストーニーブルック大学、カリフォルニア大学アーバイン、コロラド大学、ピッツバーグ大学、ロチェスター大学、ワシントン大学(アメリカ合衆国)
T2K実験は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と東京大学宇宙線研究所(ICRR)が
共同でホスト研究機関を務めています。
さらに詳しい情報は、https://breakthroughprize.org をご覧ください。