T2K実験がトップ10にランクイン!
イギリス物理学会が発行する「Physics World」誌において、T2K実験の結果が、2011年の物理学におけるブレークスルー・トップ10にランクインしました。ここで述べているように、T2K実験において、ミューニュートリノが電子ニュートリノへ振動した兆候を世界で初めて捉えたことが、その評価の理由です。もしそのような振動が無かった場合、スーパーカミオカンデ(T2K実験の後置検出器)で観測される電子ニュートリノ事象の期待値が1.5であったのに対し、実際には6事象が観測されました。この結果は、ミューニュートリノが電子ニュートリノに振動した兆候を示していますが、まだ確定的ではありません。T2K実験では2012年もさらにデータを収集して、これらのニュートリノ振動が本当に起こっていることを確証させたいと考えています。
東日本大震災以降初めてのJ-PARC陽子加速器におけるビーム試験運転
茨城県東海村に建設されたJ-PARC(大強度陽子加速器施設)の陽子加速器は、2011年3月の東日本大震災において、津波の被害からは免れましたが、多くの地震被害を受けました。しかし、現在までに被害のほとんどが修復され、2011年12月9日に、震災以降初めてとなるLINAC(線型加速器)での陽子ビーム試験運転に成功しました。このことにより、J-PARC加速器とT2K実験にとって非常に重要な段階を達成しました。詳細は、http://j-parc.jp/ja/topics/2011/ja.html#Test_operation1209をご覧ください。
東日本大震災以降の復旧作業の状況
東日本大震災以降、数か月にわたる復旧作業の後、我々は予定通り2011年12月24日から陽子ビームを加速器から取り出すことに成功し、電磁石やモニター類などビームライン構成要素の正常動作及び、ニュートリノ生成の再現性を確認しました。
しかし、12月22日の最終運転試験の途中、ホーン電磁石用電源のIGBTと呼ばれるスイッチングデバイスが故障しました。
したがって、12月のビーム運転はホーン電磁石を稼働させずに行われました。
我々は、電源を復旧させ、ホーン電磁石を稼働させた完全な状態での実験を3月から開始することを目指して、作業を続けています。
1月は、高出力運転のためのビーム調整と、前置検出器を用いた様々な系統的調査を行うために、ホーン電磁石を稼働させずにビームを取り出す予定です。
OPERA実験の報告(ニュートリノが光よりも速いという結果)に対するT2K実験グループの声明
我々の実験の性能や精度などを考えると、現時点でT2K実験グループとしては、OPERA実験によるニュートリノの速度の測定を検証することに関して明確なことは言えません。
OPERA実験が得た結果を将来的に追試するために、我々のT2K実験の測定感度を向上させられるかどうか調査する予定です。しかし、性能を向上させてそのような測定をするには、しばらく時間が必要です。


